当社は、採用ブランディングを「今ある魅力・価値を把握し、そこから作り込んで発信する」提案型、魅力採用を「魅力を見つけ出す→作る→実践して磨き上げる→発信する」というサイクルを回し続ける運用型と捉えています。どちらが正しいという関係ではなく、本来は採用ブランディングをやりながら魅力採用をやるのがよい、というのが当社の考えです。
「採用ブランディング」と「魅力採用」は何が違うのか?
違いは「作り込んで終わりにするか、更新し続けるか」の一点です。
まず、似ている部分から確認します。社長の想い・体験・考え方・哲学・価値観を発信していく——これは採用ブランディングでも行われますし、魅力採用の出発地点でもあります。ここは重なっています。
分かれるのはその先です。採用ブランディングは、今の会社にどういう魅力・価値があるのかを把握し、そこから作り込んで発信していく進め方になりやすい。一方の魅力採用は、作り込む工程を一度で終わらせず、サイクルとして回し続けることを前提に置いています。
| 比較軸 | 採用ブランディング | 魅力採用 |
|---|---|---|
| 基本の型 | 今ある魅力・価値を把握し、作り込んで発信する | 見つける→作る→磨く→発信するのサイクルを回し続ける |
| 性質 | 提案型(設計してかたちにする) | 運用型(動かし続ける) |
| 語り手 | 社長の想いを軸にする(幹部・先輩社員に広げる場合もある) | 社長+幹部社員+先輩社員の複数の声を前提にする |
| 新しい取り組みが起きたとき | 一律に決まったものを提案した場合は反映しにくい | その都度コラムとして追加・更新する |
| 完成の考え方 | 作り込んだ状態が一区切りになりやすい | 完成させず、更新し続ける状態を保つ |
※この表の「採用ブランディング」欄は、一律に決まったものを提案する形で進めた場合を想定した当社の見方です。採用ブランディングと呼ばれる取り組みの中にも、社員の声を拾うものや継続的に更新していくものはあります。
ノルツ株式会社 代表取締役 原本 昌悟「今の会社がまずどういう魅力、価値があるのかというのは結構似ているんですけれども、そこから作り込んで発信していくという感じがやっぱり採用ブランディングなのかなと思います」
なお、当社がこの事業に当初使っていた「差別化採用」という言葉を「魅力採用」に変えた理由(語感の問題と、求職者側の視点に立つという判断)は「差別化採用」と「魅力採用」は何が違うのかで説明しています。この記事で扱うのは、それとは別の「採用ブランディング」という手法との比較です。
なぜ「作り込んで発信する」だけでは止まってしまうのか?
理由は会社が動き続けているからです。作り込んだ時点の会社と、その後の会社は同じではありません。
具体例で考えます。ある会社が「うちの魅力は、地域の人にすごく喜ばれる仕事をしていること。その仕事自体に誇りを持てる会社です」と定めて発信を始めたとします。これは良い軸です。
ところが発信している最中に、新しい動きが生まれます。たとえばAIを活用した業務効率化を推進し始め、新人を含む社員から「こういう効率化のやり方はどうか」という提案が上がってくるようになった。それを取り入れながら、最先端の技術に触れつつ社員が成長していける場ができつつある——という状態です。
これは間違いなくその会社の新しい魅力です。しかし、一律に決まったものとして提案・作り込みをした場合、その形が完成しているぶん、あとから発生した魅力を差し込む場所がありません。
ノルツ株式会社 代表取締役 原本 昌悟「一律でバシッと決まったものを提案する場合って、そこで止まっちゃうんですけれども、ミリョクルで提供しているものに関しては、コラム型、ブログの型になっていますので、どんどんそれを更新していけばいいと思うんです」
当社が原則としてコラム(ブログ)形式での発信を勧めているのは、この理由です。「今後こういう取り組みをやりたい」「これはもう始めています」をリアルタイムで足していける形にしておけば、会社の変化がそのまま採用情報の更新になります。
魅力採用の「サイクル」とは、具体的に何をするのか?
4つの動きを、順番にこだわらず回し続けます。どれが先でどれが後、という固定した順序があるわけではありません。
- 魅力を見つけ出す — すでに会社の中にあるのに、言葉になっていないものを掘り出します。社長の考え方、幹部社員の判断基準、先輩社員が続けている理由などが対象です。
- 魅力を作る — 今はまだ無いものを、これから作ります。新しい取り組み、新しい制度、新しい働き方がここに入ります。
- 魅力を実践して磨き上げる — 作ったものを実際に運用し、社員の提案を取り入れながら精度を上げます。
- 魅力を発信する — 上の3つで起きたことを、その都度コラムとして公開します。
ノルツ株式会社 代表取締役 原本 昌悟「魅力を見つけ出す、魅力を作る、魅力を実践して、どんどん磨き上げていって、それを発信していくという、このサイクルを、どれが先、どれが後というよりは、このサイクルをひたすら回していくような、そういうものではないかな」
重要なのは、4番目の「発信」だけを切り出しても回らないという点です。発信する材料は、実際に会社で起きていることから出てくると考えているためです。逆に、発信する前提があるからこそ「見つける」「作る」「磨く」に目が向く、という関係でもあると考えています。
なぜ社長だけでなく、幹部社員や先輩社員にも聞くのか?
会社の魅力は、社長ひとりの視点では見えない部分があるからです。魅力採用では、社長の想いを出発点にしたうえで、幹部社員や従業員・先輩社員の声も拾っていきます。
聞く内容は、おおよそ次の3点です。
- なぜこの会社に入社したのか — 入社時点で何を魅力だと感じたか。求職者にいちばん近い視点です。
- なぜ今も頑張っているのか — 入社後も続いている理由。入社前の期待と実態が一致している部分が見えやすい問いだと考えています。
- これからどうなっていきたいのか — その会社で描ける将来像。求職者が知りたい「入社後の自分」に対応する問いとして置いています。
社長の言葉は会社の方向性を示しますが、「入って働くとどうか」に答えられるのは実際に働いている人です。語り手が複数いること自体が、発信内容の確からしさを支えると考えています。この点は「面接での魅力づけ」だけでは伝わらない理由でも触れています。
EVP(従業員価値提案)とは何か、魅力採用とどうつながるのか?
EVP(Employee Value Proposition/従業員価値提案)は、会社が従業員に対して提供する価値を言語化したものとして、人材・採用の領域で一般に説明される概念です。給与や待遇だけでなく、仕事のやりがい、成長機会、人間関係、働き方などを含めて捉えられることが多い言葉ですが、どこまでを含めるかの定義は文献や提供事業者によって幅があります。以下は、当社が実務でこの言葉を使うときの捉え方としてお読みください。
魅力採用では、EVPを先に設計してから発信するのではなく、幹部社員・先輩社員へのヒアリングを積み重ねる過程で、結果的にEVPの設計に触れることになるという順序で進みます。
- 出発点 — 実際に働いている人の言葉を集めるところから始めます。
- 言語化のタイミング — ヒアリングと発信を重ねる過程で、少しずつ言葉になっていきます。
- 見直し — 更新のたびに輪郭がはっきりしていく、という進み方を想定しています。
ノルツ株式会社 代表取締役 原本 昌悟「従業員、先輩、社員の声というような形でヒアリングしていくと思うんですけれども、そうするとですね、結局EVP、従業員価値提案の設計、そういったところにも実際には触れるというような話になっていきます」
「EVPを作りましょう」と言われても、何から手をつければいいか分からない——そうした状態は起こりうると考えています。先に枠を作るのではなく、社員の言葉を集めるところから始めれば、結果としてEVPに近づいていく——これが魅力採用の考え方です。
発信はどこに、どの形式で行えばいいのか?
当社が推奨しているのは「自社サイトのコラム形式を軸に、各種SNSなど複数チャネルへ展開する」という形です。
- 自社サイトのコラム(ブログ)を軸にする — 追加・更新が前提の形式であること、そして自社の資産として蓄積されることが理由です。SNSは過去の投稿をあとから探して読んでもらうのが難しい形式のため、蓄積の役割は自社サイト側に置くことを勧めています。
- SNSなど複数チャネルへ展開する — 記事を置いておくだけでは読まれにくいと考えています。ウェブサイトだけでなく、いろいろな場所で発信することを勧めています。
- 取り組みが動いたタイミングで更新する — 更新の頻度をあらかじめ決めるより、会社で新しいことが起きたときに書くほうが続けやすいと考えています。
なお、この「続ける」の部分は、担当者の意欲ではなく時間や体制といった構造の側に原因があると当社は考えています。その背景は経営者の発信が続かない理由に整理しています。何を書けばいいか分からない場合は採用サイトに何を書けばいいかもあわせてご覧ください。
採用ブランディングと魅力採用、どちらを選べばいいのか?
どちらかを選ぶ話ではありません。本来は採用ブランディングをやりながら、魅力採用をやっていくのがよいというのが当社の考えです。
採用ブランディングで行う「今の会社にどういう魅力・価値があるのかを把握し、作り込む」という作業は、非常に大事なものです。軸が定まっていなければ、日々の発信もばらけます。魅力採用は、その軸を置き換えるものではなく、軸ができた後も止まらないようにする仕組みだと位置づけています。
| 状況 | 向いている進め方 |
|---|---|
| 自社の魅力が言語化できていない | まず軸を定める作業(採用ブランディング的な整理)から |
| 軸はあるが、発信が更新されていない | サイクルを回す運用(魅力採用)を足す |
| 新しい取り組みが次々に生まれている | コラム形式でその都度発信する |
| 社長の声しか出ていない | 幹部・先輩社員へのヒアリングを追加する |
※この表は、当社が相談を受けたときに使っている整理の目安です。会社の状況によって適した進め方は変わります。
ミリョクルは、このうち「サイクルを回し続ける」部分を支える仕組みとして設計しています。ミリョクル自体の採用成果(応募数や定着率の変化)については当社はまだ実測データを持っていないため、ここは断定せず「更新され続ける状態を作れば、会社の変化がそのまま採用情報になる」という設計・仮説としてお伝えしています。
この発信の仕組みは、実際に検索で成果が出ているのか?
採用領域での実測データはまだありませんが、土台となっている「話した内容を検索可能な記事として蓄積し続ける」という仕組み自体には、マーケティング用途での実測があります。
| サイト | 対象キーワード | 順位 | 運用期間 |
|---|---|---|---|
| kigyousien.com(自社) | 起業支援 伴走サポート | 1位 | 1ヶ月 |
| kigyousien.com(自社) | 起業支援 伴走 | 1〜3位 | 1ヶ月 |
| souryokomon.com(クライアント) | 僧侶顧問 | 1位 | 1ヶ月 |
| souryokomon.com(クライアント) | 仏教 組織開発 | 1〜3位 | 1ヶ月 |
いずれも2026年8月時点の順位で、対象はロングテールのキーワードです。ビッグワードを狙わず、確実に取れる言葉から積む設計にしているため、1ヶ月で結果が出ています。検索順位は変動しますし、これは採用領域の実績ではなくマーケティング用途のSEO実績である点もあわせてお伝えしておきます。
出典:ノルツ株式会社 自社運用データ(kigyousien.com/souryokomon.com、2026年8月時点。souryokomon.com はクライアント掲載許可済み)