面接は「その日の受け答え」しか見られないため、一回の面接で価値観のズレや人材リスクを見抜くのは困難です。当社が有効だと考えているのは、月1回、その人が何のために仕事をしているのかを継続して話してもらうことです。深いところを聞かれると話をはぐらかす・答えたがらないといった反応は、それ自体がシグナルになり得ます。魅力採用は、この対話を採用広報の素材づくりと同じ場で回す設計にしています。
なぜ面接一回では「同じ方向を向いている人」を見抜けないのか?
人は見栄を張り、忖度し、感情で動くからです。面接という場は、応募者にとって「良く見せることが正解」の場です。そこで見えるのは本人の素の判断基準ではなく、その場に最適化された受け答えです。
経営者としては、人生の目標や将来のビジョンが近く、放っておいても協力関係になれるメンバーで会社をやりたいという理想があります。ところが実際には、社長の前では良い顔をしていても内側では別のことを考えている、というケースが起こります。これは相手が特別に悪質だからではなく、人間がそういう生き物だからです。
ノルツ株式会社 代表取締役 原本 昌悟「その人が何のために仕事しているのかっていう部分を解き明かしていく。そういう作業が必要になってくるんじゃないかな」
つまり、見抜こうとする対象が間違っています。面接で判定しようとしているのは「この人は信頼できるか」という結論ですが、実際に必要なのは「この人は何のために働いているのか」という動機の解像度です。動機は一回の会話で言い切れるものではないので、時間をかけて輪郭を出していくしかありません。
人材リスクを放置すると、会社は何を失うのか?
失うのは金銭だけではなく、会社の信頼とブランドです。横領や詐欺といった行為が起きた場合、直接の損害以上に、取引先・求職者・社員からの信用が損なわれます。
中小企業では、この打撃がより重く出るのではないか、というのが当社の見立てです。取引先の数が限られる中で信用が傷つくと回復に時間がかかりやすく、採用の場面でも「あの会社は大丈夫なのか」という空気が残りかねません。採用広報で積み上げてきた発信の資産も、同時に価値を落とすと考えています。
だからこそ当社は、人材リスクへの対応を「起きてから対処する話」ではなく、採用と組織運営の設計に最初から織り込んでおく話として扱っています。なお、ここで扱うのはあくまで日常の対話設計であり、法的手続きの話ではありません。
継続的な対話は、面接や1on1と何が違うのか?
「見る回数」ではなく「同じ人の話を時間軸で並べられること」が違いです。1回の観察では点しか取れませんが、毎月続けると線になり、線の途中のブレが見えるようになります。
| 場 | 頻度 | 主に見えるもの | 限界 |
|---|---|---|---|
| 採用面接 | 入社前に1〜数回 | その日の受け答え・経歴 | 場に最適化された姿しか見えない |
| 1on1 | 会社により異なる | 業務の進捗・困りごと | 項目を埋める報告会になりやすい |
| 継続ヒアリング | 月1回 | 仕事の目的・哲学・進め方 | 短期では成果が見えにくい |
1on1が形骸化しやすいのは、シートの項目を埋めることが目的化するためだと当社は考えています(詳しくは1on1が「報告会」で終わってしまう理由で扱っています)。継続ヒアリングは進捗を聞く場ではなく、その人の考えていること・仕事の哲学・仕事の進め方を話してもらう場として設計する点が違います。
月1回の対話では、何を話してもらうのか?
業務報告ではなく、「何のために働いているのか」に近づく話題です。魅力採用「ミリョクル」では、月1回、対象者の考えていること・哲学・仕事の進め方を継続的に話してもらう形式をベースにしています。話してもらうのはこの3点です。
- 考えていること。いま何を思いながら仕事に向き合っているか。
- 哲学。仕事において何を大事にしているか。
- 仕事の進め方。実際にどういうやり方で進めたいと思っているか。
これを実務に落とすなら、抽象的な理念を聞くのではなく直近の具体的な場面で何を優先したかを聞くほうが話しやすいと当社は考えています。いずれにせよ、ここで話してもらった内容は、そのまま採用コンテンツの素材にもなります。リスク検知のためだけに時間を取るのではなく、発信の素材づくりと同じ場で行える点が、中小企業にとって現実的だと考えています。誰の声を集めるかの考え方は先輩社員の声を拾うとEVP設計に近づくで整理しています。
「話したがらない」ことは、なぜシグナルになり得るのか?
深く踏み込まれたときの反応は、取り繕いにくいからです。お金のためだけに働いている人や、良からぬ意図がある人は、動機の核心に近づく質問に対して話をはぐらかしたり、はっきり答えなかったりする傾向がある——というのが代表・原本の着眼です。
ノルツ株式会社 代表取締役 原本 昌悟「お金のためだけに仕事している人とか、ちょっと悪いことしようかなってしている人って、やっぱり話したがらないと思うんですよね。で、話したとしても、あんまり深いところを突っ込まれると、話をはぐらかしちゃったりとか、ちゃんと教えてくれなかったりすると思うんですよ」
ここで重要なのは、1回の「話したがらなさ」で判断しないことです。体調が悪い日もあれば、その月はたまたま話しにくい話題だったということもあります。判断材料になるのは単発の反応ではなく、毎月積み重ねたときに出てくるブレのほうです。
ノルツ株式会社 代表取締役 原本 昌悟「毎月毎月ヒアリングをして、毎月毎月に話していくと、そういう人はどっかでボロが出るんじゃないかな」
なお、これは名義人の見解であり、当社が統計的に検証したものではありません。「こういう反応が出たら不正である」と断定できる指標ではなく、もう少し丁寧に話を聞いたほうがよさそうだ、と気づくための材料として扱うべきものだと考えています。
判断基準を社内に公開しないのはなぜか?
基準が知られると、基準に対して取り繕われてしまうからです。そのため当社では、どのような発言や反応を兆候として見ているかという具体的な判断基準は、社長以外には公開しない運用にしています。
| 項目 | 当社の運用 | 理由 |
|---|---|---|
| ヒアリング頻度 | 月1回 | 時間軸で変化を並べるため |
| 話す内容 | 考え・哲学・仕事の進め方 | 動機の解像度を上げるため |
| 判断基準の共有範囲 | 社長のみ(非公開) | 対策・取り繕いを避けるため |
この非公開の運用は、社員を疑うためのものではありません。基準を明示すると、そこに合わせた回答が返ってくるようになり、対話そのものが面接と同じ「良く見せる場」に戻ってしまうためです。場を素のままに保つための工夫だと捉えています。
この対話は、採用や定着にどう効くのか?
同じ対話が、リスク検知・理念浸透・採用コンテンツの3つに同時に効くと考えています。月1回、その人の考えを言葉にしてもらう場を持つと、その内容は社内向けの相互理解にも、社外向けの発信にも使えます。
上司が何を考えているか分からない状態が離職につながりやすいことは理念浸透と定着率の関係で扱っています。逆方向、つまり会社が社員の考えを分かっていない状態を放置すると、価値観のズレに気づくタイミングが遅れます。両方向を同じ仕組みで扱うのが、当社の設計です。
なお、この設計によって不正の発生率や定着率がどう変わるかについて、当社にはまだ実測データがありません。そういう設計にしているという構想としてお読みください。記事を蓄積する仕組み自体には、マーケティング用途での実測があります。
| サイト | 対象キーワード | 順位 | 運用期間 |
|---|---|---|---|
| kigyousien.com(自社) | 起業支援 伴走サポート | 1位 | 1ヶ月 |
| kigyousien.com(自社) | 起業支援 伴走 | 1〜3位 | 1ヶ月 |
| souryokomon.com(クライアント) | 僧侶顧問 | 1位 | 1ヶ月 |
| souryokomon.com(クライアント) | 仏教 組織開発 | 1〜3位 | 1ヶ月 |
いずれも2026年8月時点の順位であり、検索順位は変動します。ビッグワードではなく確実に取れるロングテールのキーワードから積み上げる設計のため、1ヶ月で結果が出ています。また、これは採用領域の実績ではなくマーケティング用途のSEO実績です。検証の詳細は自動化SEOで本当に上位表示できるのかにまとめています。
今日から始めるなら、何から手をつけるか?
制度を新設する必要はありません。すでにある面談の中身を1つ入れ替えるところから始められます。
- 月1回、業務報告以外の話をする時間を短時間でも確保する。既存の1on1の後半でも構いません。
- 「何のためにこの仕事をしているか」に近い質問を1つ入れる。抽象論ではなく直近の具体的な判断を聞く。
- 答えの内容と、答え方の両方を記録しておく。単発では判断せず、翌月以降と並べて見る。
- 気になる反応が続いたら、評価ではなく対話を増やす。決めつけずに、聞く回数を増やして確かめる。
- 話してもらった内容は、本人の同意を得たうえで発信の素材にする。同じ時間を採用コンテンツにも生かす。
1〜4は運用だけで今日から変えられます。5だけは仕組みの話になりますが、社員の考えを社内で共有することと、会社の考えを社外に発信することは、同じ素材で同時に満たせます。発信が意志ではなく設計の問題である理由は経営者の発信が続かない理由で整理しています。
魅力採用「ミリョクル」について
ミリョクルは、経営者が月1回・60分話すだけで、その内容をAIが記事にして自社サイトに蓄積する魅力採用のサービスです。社長だけでなく、幹部社員・先輩社員の声を発信するコンテンツにも応用できます。魅力採用は「魅力を作る・伝える・成長する」の3つの軸からなり、採用サイトへの掲載と本社コーポレートサイトへの採用コンテンツ提供のどちらにも対応します。料金は内容に応じて個別にお見積もりします。記事本数は収録内容により変動し、本数の保証はありません。
