魅力を伝える活動は、求職者に向けたものです。ただし、読んだ人が応募しなかった場合でも、会社名がその人の目に触れた事実は残ります。経営者としての情報発信、つまりブランディングやマーケティングの観点から見れば、それ自体に価値があると考えています。採用の成果だけを評価軸にすると発信は止まりやすくなります。魅力を伝えるを続けるには、評価の置き方から変える必要があります。
応募が増えなかった発信は、無駄だったのか?
無駄ではありません。読まれた時点で、会社名はその人に届いています。採用の発信は求職者に向けて行いますが、効果の残り方は応募だけではありません。
ノルツ株式会社 代表取締役 原本 昌悟「もし入社しなかったとしても、それって企業を、その名前をね、相手の目に触れる機会を増やすっていうことにもなりますので……それも発信はどんどんしていった方がいいんじゃないかな」
応募しなかった人が、その会社を嫌ったとは限りません。タイミングが合わなかった、勤務地が遠かった、今の会社を辞める理由がまだない。その人の中には「そういう考え方の会社がある」という記憶だけが残ります。この記憶は、その人が次に会社を探すときまで効くこともあると考えています。
応募以外に、発信はどこに残るのか?
認知・紹介・取引・社内・再接触という5つの形で残ると考えています。どれも応募数のグラフには出てきません。
| 残り方 | 誰に対して | いつ効くか |
|---|---|---|
| 認知 | 読んだが応募しなかった求職者 | その人が次に転職を考えたとき |
| 紹介 | 読んだ人の知人・元同僚 | 合いそうな人に話が伝わったとき |
| 取引 | 同業者・取引先・協業先 | 仕事の相手を探しているとき |
| 社内 | すでにいる社員 | 会社の考え方を確認したいとき |
| 再接触 | 過去に選考で縁がなかった人 | 会社の現在地が変わったとき |
とくに見落とされがちなのが、社内(すでにいる社員)です。採用のために書いた記事を、社内の人が熱心に読んでいた、という場面もあると考えています。社長が何を考えているかは、日々の業務の中では意外と伝わりません。入社後の理念浸透に同じ素材を使う考え方は社員インタビュー記事を入社後の理念浸透に使うにまとめています。
採用の発信と、経営者のブランディングは別物ではないのか?
出している内容が同じなら、受け取る側にとっては区別がありません。読む人が求職者か取引先かで、同じ記事の意味が変わるだけです。
会社がどういう判断基準で動いているか。何を大事にして、何を断っているか。この内容は、応募を検討している人にとっては会社選びの材料になり、仕事の相手を探している人にとっては発注の判断材料になります。書き分ける必要がないので、一本の発信が両方に効きます。
当社が自社でこれをやっている理由もここにあります。自動化SEOの仕組みは、もともと自社の集客のために作ったものです。それを採用の文脈に持ち込んでいるので、採用の発信と事業の発信は同じ設計で回せるという実感があります。仕組みの検証結果は自動化SEOで本当に上位表示できるのかにまとめました。
もう一点、書き分けないことには実務上の意味があります。採用広報と事業広報を別々の担当・別々の媒体で持つと、更新の手間が二重になり、どちらも中途半端になりやすい。経営者が話す内容は、そもそも一つです。それを一度の収録で受け取り、置き場所ごとに形を変えて出したほうが、続けやすいと考えています。
何を基準に続ければよいのか?
応募数を唯一の評価軸から外すことです。応募数は、発信以外の要因で大きく動きます。
| 見るもの | 何がわかるか | 注意点 |
|---|---|---|
| 記事の閲覧数 | 届いているかどうか | 少なくても指名検索が増えていれば効いている |
| 会社名での検索 | 興味を持った人が調べにきた数 | 採用以外の理由も混ざる |
| 面接での言及 | 「記事を読みました」と言われた回数 | 数は少ないが質がわかる |
| 社内の反応 | 社員が読んで話題にしたか | 数値化しにくい |
| 応募数 | 最終的な成果 | 景気・時期・媒体出稿に左右される |
応募数だけを見ていると、良い記事を書いた月でも数字が動かないことがあります。逆に、媒体に出稿した月は、記事とは関係のないところで応募が増えることもあります。発信の評価を応募数に結びつけると、発信以外の要因で動いた数字を見て判断することになりかねません。続けるかどうかを決める材料としては、あまり向いていないと考えています。
出典:ノルツ株式会社による整理(2026年9月時点)。上表の5指標は当社が支援の現場で用いているもので、業界標準の指標セットではありません。
発信が止まってしまうのは、なぜか?
成果が出ていないからではなく、成果の測り方が合っていないからだと考えています。もう一つは、単純に書く時間が取れないことです。
応募という物差ししか持っていないと、3ヶ月やって応募が増えなければ「効果がなかった」という結論になります。実際には認知として積み上がっているかもしれません。ただ、それを見る指標を用意していないので、判断できない。測っていないものは、なかったことになります。
もう一方の「書く時間がない」については、意志の問題として扱わないほうがうまくいきます。私自身、代表1人で会社を運営しているので、書く工程が止まる感覚は実体験としてあります。構造の話は経営者の発信が続かない理由で詳しく扱っています。
どのくらいの期間、続ける前提で始めればよいか?
期間を決めるより、止めない形にしてから始めるほうが現実的だと考えています。
検索から見つけてもらえるようになるまでには時間がかかります。当社が運用した自社サイトとクライアントサイトでは、対象キーワードで1ヶ月という結果が出ていますが、これはビッグワードを避けてロングテールから積み上げた場合の話です。
| サイト | 対象キーワード | 順位 | 運用期間 |
|---|---|---|---|
| kigyousien.com(自社) | 起業支援 伴走サポート | 1位 | 1ヶ月 |
| souryokomon.com(クライアント) | 僧侶顧問 | 1位 | 1ヶ月 |
いずれも上記の対象キーワードにおける2026年8月時点の順位であり、検索順位は変動します。また、この発信による応募数や認知の変化については、当社に実測データがありません。そうなるように設計しているという考えとしてお読みください。
何から始めればよいか?
- 応募数以外の指標を1つ決める。会社名での検索数か、面接で記事に言及された回数。どちらか一方で構いません。
- 判断するタイミングを先に決めておく。始める前に決めないと、数字が動かない月に止めたくなります。
- 書く工程を自分から外す。話す時間だけを確保し、記事にする作業は別の手段に任せます。
- 採用と事業の発信を分けない。同じ記事が両方に効くので、書き分けると単純に手間が倍になります。
1番目の指標は、厳密である必要はありません。応募数以外に目を向ける癖をつけることのほうが目的だからです。会社名での検索数はSearch Consoleで確認でき、面接での言及は面接記録に一行足すだけで残ります。どちらも新しいツールを増やさずに始められます。
魅力採用「ミリョクル」について
ミリョクルは、経営者が月1回・60分話すだけで、その内容をAIが記事にして自社サイトに蓄積する魅力採用のサービスです。「魅力を作る・伝える・成長する」の3つの軸からなり、サイト記事に加えてnote記事・SNS用原稿も作成します(投稿代行は現時点で未サービス化)。料金は内容に応じて個別にお見積もりします。記事本数は収録内容により変動し、本数の保証はありません。
