魅力は社長室ではなく、現場の言葉の中にある

自社の魅力の見つけ方|社員に聞く4つの方法と負担別の使い分け

自社の魅力を洗い出そうとして、経営者ひとりで手が止まる。そういう場面があります。当社は、これを「魅力が無い」問題ではなく「聞く相手を間違えている」問題だと捉えています。解説は、2019年6月にノルツ株式会社を設立し、代表1人で会社を運営しながらHR・人材事業者コミュニティ「HR TOKYO」を運営する代表取締役・原本昌悟です。

要点

自社の魅力を見つける方法として代表・原本が挙げるのは、社員に聞くことです。社長から見た魅力と社員から見た魅力が一致しているかは、聞いてみるまで分かりません。聞き方は4つ。①1on1で直接聞く ②社員インタビューで入社理由を言語化する ③アンケート・日報の一部に欄を設ける ④付箋ワークで一斉に書き出す。社員の負担に合わせて使い分けられます。魅力をつくる工程は、この「発見」から始まります。

なぜ経営者だけで自社の魅力を洗い出すと行き詰まるのか?

社長から見た魅力と、社員から見た魅力がイコールとは限らないからです。そして、どこがズレているかは聞いてみるまで分かりません。

中小企業が採用で勝つために自社の魅力を見つける作業は、避けて通れないものだと当社は考えています。ただ、その作業を経営者ひとりの内省として進めると、出てくるのは「経営者が魅力だと思っていること」だけになります。それが求職者に刺さるかどうか以前に、いま働いている社員が魅力だと感じているかどうかすら確認できていない状態です。

たとえば経営者が「裁量の大きさ」を魅力だと考えていても、社員は「相談すればすぐ判断が返ってくる速さ」を魅力に感じているかもしれません。どちらも本当ですが、採用コンテンツに書くべき言葉は後者かもしれない。この差は、社内で確かめるしかありません。

「社長から見た時の魅力が、社員から見た時の魅力と本当にイコールかどうか、これは実は聞いてみないとわからないという領域だったりするんです」

ノルツ株式会社 代表取締役 原本 昌悟
日本の中小企業のオフィスで30代の社員2名が机を挟んで話し合っている様子

自社の魅力を見つける最も良い方法は何か?

社員に聞くことです。求職者に届く言葉は社内にしかない、というのが代表・原本の立場です。

求職者が読みたいのは、どの会社にも当てはまる一般論ではなく、その会社で実際に働いている人が感じていることだと当社は考えています。それは社内にしか存在しません。つまり、魅力の発見は情報収集ではなくすでにあるものの言語化です。求職者が何を知りたいと思っているかについては求職者が知りたいのは「差別化」ではなく「魅力」で扱っています。

ただし、ここには現実的な制約があります。社員は基本的に忙しいはずです。全員に時間を取って一人ずつ深くヒアリングすれば膨大な工数になります。だからこそ、負荷の軽い聞き方から重い聞き方まで、複数の選択肢を持っておくことが実務的だと考えています。

社員から魅力を聞き出す方法にはどんな選択肢があるか?

代表・原本が挙げているのは4つです。1on1、社員インタビュー、アンケート・日報フォーマットの一部活用、付箋を使ったワーク。社員1人あたりの負担と、集まる情報の深さが異なります。

方法聞き方社員1人あたりの負担向いている場面
① 1on1面談の中で「うちの魅力ってどんなところだと思う?」と直接聞くほぼ増えない
(既存の面談枠を使う)
すでに1on1を運用している会社
② 社員インタビュー「なぜ入社したのか」を語ってもらい、言語化して集計する
(1人ずつ話を聞く)
採用コンテンツの素材も同時に欲しい場合
③ アンケート・日報の欄アンケートツールや日報フォーマットの一部に質問欄を設ける
(記入は短時間)
全社員から広く薄く集めたい場合
④ 付箋ワーク2時間ほど時間を取り、全社員または部署単位で魅力を書き出す
(2時間・まとまった人数の時間を確保)
一度にまとまった量を出し切りたい場合
出典:ノルツ株式会社 代表取締役 原本昌悟へのインタビュー(2026年8月29日収録)。表中の「2時間」は原本の発言に基づく目安です。負担の大小は各手法の性質による相対比較であり、実測値ではありません。

1on1で自社の魅力を聞くには、どう切り出せばいいか?

構えず、シンプルに「うちの魅力ってどんなところだと思う?」と聞くだけで十分だと代表・原本は考えています。専用の設問設計や事前資料は不要です。

1on1は、社内のコミュニケーション不足に対する対策として有効な手段です。すでに1on1を運用している会社であれば、その枠の中に質問を1つ足すだけなので、新しい会議体を作る必要がありません。4つの中では最も導入しやすい方法だと考えています。

「ワンオンワンしながら、うちの魅力ってどんなとこだと思う、みたいなシンプルに聞いていくのもね、やっぱりいいと思います」

ノルツ株式会社 代表取締役 原本 昌悟

注意点が1つあります。1on1が進捗確認の報告会になっている場合、この質問を足しても表面的な答えしか返ってきません。本音が出る前提条件が整っていないためです。その条件については1on1が「報告会」で終わってしまう理由で整理しています。

社員インタビューでは何を聞けばいいか?

「なぜ入社したのか」です。入社を決めた理由は、その社員がその時点で感じた魅力そのものであり、求職者の判断材料と近い構造をしていると当社は考えています。

入社理由は、本人にとっては当たり前になっていて、言葉になっていないことがあります。だからこそ聞く価値があります。そして重要なのは、1人分の答えで終わらせず言語化したものを集計していくことです。複数人の入社理由を並べると、その会社が繰り返し選ばれている理由の輪郭が見えてきます。

「社員インタビューのような形でね、何で入社したのかの部分ですね。その辺をね、言語化したものを集計していったりっていうのも、すごいいいかなというふうに考えています」

ノルツ株式会社 代表取締役 原本 昌悟

この方法には副産物があります。集めた入社理由は、そのまま採用コンテンツの素材になります。誰の声を集めるとEVP(従業員価値提案)の設計に近づくかは先輩社員の声を拾うとEVP設計に近づくで扱っています。また、社員インタビュー記事は入社後の理念浸透にも使えます(社員インタビュー記事を入社後の理念浸透に使う)。

忙しくて時間が取れない場合、どう集めればいいか?

アンケートツールを使うか、日報フォーマットの一部に質問欄を設けます。社員が既に触れている運用フローに質問を差し込むため、新しい時間を確保する必要がありません。

たとえば日報の最後に「うちの魅力は何だと思うか」「こんな魅力が追加されたらいいと思うか」といった欄を作る。記入そのものは短時間で済み、しかも継続的に意見が溜まっていきます。後者の「追加されたらいい魅力」という問いは、発見だけでなく創出のヒントにもなります。既存の魅力だけでは戦えないと判断したときに、どこへ手を入れるかの候補が現場から上がってくるためです。この2段階の考え方は「魅力をつくる」とは何かにまとめています。

「日報のフォーマットの一部分に、うちの魅力ってなんだと思うとか、こんな魅力が追加されたらいいよね、みたいなね、ちょっと各欄を作ったりとかして、社員から意見を引っ張っていくっていうのも、すごいいい方法だと思います」

ノルツ株式会社 代表取締役 原本 昌悟
オフィスで複数の付箋が貼られた無地のボードの前に立つ人物の後ろ姿

まとまった量を一度に出し切るにはどうすればいいか?

2時間ほど時間を取り、付箋を使って全員で自社の魅力を書き出すワーク形式です。全社員一斉が難しければ、部署ごとに順番に実施する形でも成立します。

  1. 対象範囲を決める。全社員での実施が難しければ、部署単位で順番に回す。
  2. 2時間を確保する。目安として代表・原本が挙げている時間です。
  3. 付箋に書き出してもらう。「うちの魅力を全部書き出す」というシンプルな課題にする。
  4. 出たものを分類する。同じ趣旨のものをまとめると、頻出する魅力が浮かび上がります。

「2時間で、あのね、うちの魅力を全部書き出しましょう、みたいな感じで、みんなで付箋とか使ってね、どんどん書いていってもらったり」

ノルツ株式会社 代表取締役 原本 昌悟

4つの中では最も負荷が高い方法ですが、その分まとまった量が一度に集まります。1on1や日報欄で継続的に集めるやり方と、ワークで一気に出し切るやり方は排他ではありません。ワークで土台を作り、その後は日報欄で更新し続けるといった組み合わせも可能です。

社員に魅力を聞くこと自体に、副次的な効果はあるか?

あると考えています。社員自身が自社の魅力を再認識する場になるためです。会社の魅力を書き出す作業は、必然的にポジティブな意見を出す時間になります。

他の社員が挙げた魅力を見て「この人はここに魅力を感じているのか」「確かにこの部分は魅力だ」と気づく。この過程は、採用のための情報収集であると同時に、社内向けの言語化の場としても働くのではないかと考えています。

ただし、これによって定着率やエンゲージメントの数値がどう変わるかについて、当社に実測データはありません。そういう効果が期待できる設計だとお読みください。理念や上司の考え方が入社後の定着とどう関わるかは理念浸透と定着率の関係で整理しています。

支援を入れるべきか、自社だけでやるべきか?

どちらでも構いません。代表・原本は、当社の支援ありで実施するのも、自社で時間を取って実施するのも、どちらも良いという立場です。

4つの方法で新しく必要になるのはアンケートツール程度で、資格も特別な準備も要りません。判断基準になるのは、時間を確保できるか、集まった言葉を整理して発信まで持っていけるかの2点だと考えています。代表・原本自身、経営者が抱える「書く時間がない」「発信が続かない」という課題を、自分自身の課題として経験してきました。発信が続かない理由は経営者の発信が続かない理由で扱っています。

なお、集めた言葉を記事として蓄積する仕組み自体には、マーケティング用途での実測があります。自社 kigyousien.com は「起業支援 伴走サポート」で1位、クライアントの souryokomon.com は「僧侶顧問」で1位を、いずれも運用1ヶ月・2026年8月時点で取得しています(検索順位は変動します。採用領域ではなくマーケティング用途のSEO実績です)。順位ごとの内訳と検証プロセスは自動化SEOで本当に上位表示できるのかにまとめています。

出典:ノルツ株式会社 自社運用データ(kigyousien.com/souryokomon.com、2026年8月時点。souryokomon.com はクライアント掲載許可済み)

明日から始めるとしたら、どこから手をつけるか?

すでに1on1を運用しているなら、次の面談で質問を1つ足すところからです。新しい制度も予算も必要ありません。

  1. 次の1on1で聞く。「うちの魅力ってどんなところだと思う?」の一言を足す。
  2. 日報・アンケートに欄を作る。継続的に意見が溜まる導線を用意する。
  3. 入社理由を集計する。すでに入社している社員が、なぜここを選んだのかを言語化して並べる。
  4. まとまった量が必要になったらワークを組む。部署単位・2時間から始める。
  5. 集まった言葉を発信の形にする。集めただけでは求職者には届きません。

1〜4は自社だけで進められます。詰まりやすいのは5です。魅力を集める作業と、それを記事として出し続ける作業は、必要な時間の性質が違うためです。

魅力採用「ミリョクル」について

ミリョクルは、経営者が月1回・60分話すだけで、その内容をAIが記事にして自社サイトに蓄積する魅力採用のサービスです。社長だけでなく、幹部社員・先輩社員の声を発信するコンテンツにも応用できます。魅力採用は「魅力を作る・伝える・成長する」の3つの軸からなり、採用サイトへの掲載と本社コーポレートサイトへの採用コンテンツ提供のどちらにも対応します。料金は内容に応じて個別にお見積もりします。記事本数は収録内容により変動し、本数の保証はありません。

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原本

原本 昌悟(はらもと まさのり) ノルツ株式会社 代表取締役。2019年6月に同社を設立。デザイン経営による経営者伴走支援、起業支援、Web制作・SEOを手がける。HR・人材事業者コミュニティ「HR TOKYO」運営。

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