「魅力をつくる」は2段階です。原則は①すでに会社の中にある魅力を見つけて言語化すること。②それだけでは今後戦えないと判断した場合に限り、待遇以外の部分で新しい魅力を追加します。進め方はヒアリング中心で、社長へのヒアリング・従業員へのヒアリング・意見を募集する簡易ツールのいずれか、または組み合わせで行います。魅力採用「ミリョクル」の3つの軸のうち、最初の入口にあたる工程です。
「魅力をつくる」は、魅力をでっち上げることなのか?
違います。原則は創作ではなく、発見と言語化です。魅力はすでに会社の中にある、というのが出発点の考え方です。
「作る」という動詞から、ゼロから何かを新設する作業を想像されることがあります。福利厚生を増やす、制度を新しく入れる、キャッチコピーを考える——といったイメージです。しかし当社が主にやっているのは、すでに存在しているのに言葉になっていないものを、言葉にする作業です。
ノルツ株式会社 代表取締役 原本 昌悟「魅力はもう会社の中にあると私は考えています。その会社の魅力って何なんだろうかというのを見つけていく作業、これが魅力を作るというふうに原則としては考えています」
経営者の方から「うちには差別化できるものがない」と言われることがあります。ただ、魅力はもうその会社の中にあるというのが当社の考え方です。書いていない、言葉にしていないだけではないか、という前提から入ります。
なぜ「すでにある魅力」が社内外に伝わっていないのか?
当事者にとっては当たり前になっていて、価値だと認識されていないからです。毎日その環境で働いている人にとって、自社の特徴は「普通のこと」になります。
たとえば、決裁に何段階もかからないこと、経営判断の理由を社長本人から直接聞けること、一人が担当する仕事の範囲が広いこと。これらは求職者から見れば明確な選択理由になり得ますが、社内では話題にすらなりません。言語化されていない魅力は、求人票にも採用サイトにも載りません。載っていないものは、求職者の判断材料になりません。
求人票を作り込んでも応募につながらない構造については求人票だけでは選ばれない理由で扱っています。また「差別化」ではなく「魅力」という言葉を使う理由は求職者が知りたいのは「差別化」ではなく「魅力」で整理しています。
すでにある魅力は、どうやって見つけるのか?
ヒアリングが中心です。手段は3つあり、状況に応じて単独でも組み合わせでも実施します。
ノルツ株式会社 代表取締役 原本 昌悟「魅力を作るは、ベースとしてはヒアリング中心です」
| 手段 | 聞く相手 | 引き出せるもの | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| 社長へのヒアリング | 経営者 | 創業の経緯・判断基準・この先の方向 | 会社の哲学を軸に据えたいとき |
| 従業員へのヒアリング | 幹部・現場社員 | 働く実感・入社理由・続けている理由 | 求職者に近い目線がほしいとき |
| 意見募集ツール | 社員全員 | 広く浅い声・少数意見 | 人数が多く全員に聞けないとき |
社長へのヒアリングと従業員へのヒアリングは、何が違うのか?
社長からは「会社がどうありたいか」、従業員からは「実際にどうであるか」が出てきます。両方を突き合わせると、言葉にすべき魅力の輪郭がはっきりします。
社長の考え方だけで採用コンテンツを作ると、理想が前に出すぎて、入社後の実態とのギャップが生まれることがあります。逆に社員の声だけを集めると、日常の話に寄って会社の方向性が見えにくくなります。魅力の言語化は、社長の考えと社員の実感の両方を情報源にしたほうが精度が上がると考えています。
誰の声を集めるかという設計の考え方は先輩社員の声を拾うとEVP設計に近づくで、採用サイトに何を書くかは採用サイトに何を書くかで詳しく扱っています。
新しい魅力を「作る」のは、どういう場合か?
いま会社にある魅力だけでは、この先戦えないかもしれないと判断した場合に限ります。順番として、まず①の発見・言語化を行い、その結果を見てから②を検討します。
ノルツ株式会社 代表取締役 原本 昌悟「今会社にある魅力だけでは、これから先戦えないかもしれないというふうに考えた場合には、その今ある魅力に対してさらに新しい魅力を作っていくというのも、当然必要な作業になっていく」
| ①魅力を見つける(原則) | ②新しい魅力を作る(例外) | |
|---|---|---|
| やること | すでにある魅力の発見・言語化 | 待遇以外の軸で魅力を追加する |
| 起点 | 社長・社員へのヒアリング | 求職者が何を望んでいるか |
| 実施の判断 | 原則としてすべての会社で実施 | ①だけでは戦えないと判断した場合のみ |
②を先にやらないのには理由があります。会社の実態から離れたところで新しい魅力を設定すると、入社前に伝えた内容と入社後の現実がずれてしまうからです。そのズレが定着の課題につながりうる、というのが当社の見立てです(定着率への効果は実測できていません)。入社前後の一貫性については理念浸透と定着率の関係で扱っています。
新しい魅力は、どの軸で作るのか?
待遇以外の軸で、求職者が何を望んでいるかを起点に考えます。大手と待遇で勝つのは難しいという前提に立つためです。
給与や福利厚生の原資は資本力で決まるため、そこで比較される限り中小企業は構造的に不利になります。待遇の改善そのものを否定はしませんが、それは差別化ではなく最低条件の整備です。待遇を前提から外したときに何が残るか——そこが新しい魅力を検討する範囲になります。
この考え方の全体像は採用の差別化は2段階で考えると待遇で勝てない会社の採用戦略で整理しています。
「魅力をつくる」は、魅力採用のどこに位置するのか?
「魅力を作る・魅力を伝える・魅力で成長する」という3つの軸のうち、最初の入口にあたる工程です。ここで言語化された内容が、以降のすべての発信の素材になります。
| 軸 | やること | このページとの関係 |
|---|---|---|
| 魅力を作る | ヒアリングで発見・言語化し、必要なら追加する | 本ページで解説 |
| 魅力を伝える | 言語化した内容を記事にして蓄積・発信する(詳しくは「魅力を伝える」とは何か) | 作った魅力が素材になる |
| 魅力で成長する | 入社後の理念浸透・定着に同じ素材を使う | 入社前後で一貫させる |
ここで言語化した内容をどう発信に変えるかは、月1回・60分の収録をAIが記事にする仕組みが担います。この仕組み自体には、マーケティング用途での実測があります。
| サイト | 対象キーワード | 順位 | 運用期間 |
|---|---|---|---|
| kigyousien.com(自社) | 起業支援 伴走サポート | 1位 | 1ヶ月 |
| kigyousien.com(自社) | 起業支援 伴走 | 1〜3位 | 1ヶ月 |
| souryokomon.com(クライアント) | 僧侶顧問 | 1位 | 1ヶ月 |
| souryokomon.com(クライアント) | 仏教 組織開発 | 1〜3位 | 1ヶ月 |
いずれも2026年8月時点の順位であり、検索順位は変動します。ビッグワードではなく確実に取れるロングテールのキーワードから積み上げる設計のため、1ヶ月で結果が出ています。また、これは採用領域の実績ではなくマーケティング用途のSEO実績です。検証の詳細は自動化SEOで本当に上位表示できるのかにまとめています。応募数や定着率がどう変わるかについては実測がなく、そういう設計にしているという構想としてお読みください。
何から始めればよいか?
新しい制度を作る必要はありません。まず「すでにあるもの」を洗い出すところから始めます。
- 社長が、創業から今までの判断とその理由を話す。何を選び、何を選ばなかったか。
- 社員に、入社した理由と続けている理由を聞く。今も残っている理由のほうが重要です。
- 人数が多ければ、意見を募集するツールで広く集める。全員に対面で聞ける規模とは限らないため。
- 出てきた言葉を突き合わせ、重なる部分を言語化する。社長の理想と社員の実感が重なる場所が、伝えるべき魅力です。
- それだけで戦えるかを判断し、必要なら待遇以外の軸で追加する。判断してから作る、の順番を守ります。
