新しい魅力を作るとき、社員の声を聞くだけでは会社内で議論が止まると代表・原本は考えています。新しいものを作ろうと思ったら外の人。いろんな経営者から「なぜ社員を採用できているのか」「なぜその人たちが定着しているのか」を聞き、社内の声と組み合わせて、他社にはない独自の魅力を作っていく。簡単な作業ではありませんが、社内の声と社外の情報は役割が違います。魅力をつくる工程で案が枯れたときの打ち手です。
社員に聞くだけでは、なぜ新しい魅力が出てこないのか?
参加者全員が、同じ会社の前提の中にいるからです。知らないものは、誰も提案できません。
社員へのヒアリングは、すでに社内にある魅力を見つける工程では非常に有効です。当事者しか知らない良さが出てきます。一方で「まだ社内にないもの」を作る工程になると、同じ手法では限界が来ます。社員が挙げられるのは、自分が経験した範囲か、見聞きした範囲のことだけだからです。
ノルツ株式会社 代表取締役 原本 昌悟「新しい魅力を作るときに、社員の声を聞くだと会社内でどうしても議論が止まってしまいますので、新しいものを作ろうと思ったらやっぱり外の人ですよね」
これは社員の能力の話ではなく、情報源の構造の話です。すでにある魅力の洗い出し方(1on1・社員インタビュー・アンケート・付箋ワーク)は自社の魅力の見つけ方にまとめています。このページで扱うのは、その工程を終えた後に何をするかです。
社外の経営者に聞くと、何が得られるのか?
自社では起きていない事象と、その理由です。成功事例そのものより、成立している理由のほうに価値があります。
代表・原本が挙げているのは、いろんな経営者の話を聞いてなぜ社員を採用できているのか、なぜその人たちが定着しているのかを知る、という使い方です。採用と定着は、外から結果だけを見ても理由がわかりません。事情を知る本人に聞くしかない領域です。
重要なのは、聞く対象が「うまくいっている会社」に限らないという点です。当社の整理では、やってみて外した施策の話も、同じ失敗を避けるという意味で有用です。導入と撤回を繰り返す損失については新しい魅力は「やって終わり」にしないで扱っています。
出典:ノルツ株式会社 代表取締役 原本昌悟へのインタビュー(2026年8月29日収録)。本記事の進め方は名義人の見解であり、効果を保証するものではありません。
他社の経営者には、具体的に何を聞けばいいのか?
制度の名前ではなく、その制度が機能している理由を聞くことです。名前だけ持ち帰っても再現できません。
| 聞くこと | 質問の例 | 持ち帰れるもの |
|---|---|---|
| 採用できている理由 | 直近の入社者は、何が決め手で入社したか | 求職者に実際に効いた要素 |
| 定着している理由 | 長く在籍している社員は、なぜ辞めていないか | 入社後に効いている要素 |
| 施策の運用実態 | その制度は誰が運用し、月にどれだけ手がかかるか | 自社で回せるかの判断材料 |
| やめた施策 | 過去に導入してやめたものは何か、なぜやめたか | 避けるべき失敗 |
| 前提条件 | その施策は、どんな会社だから成立しているか | 自社に移せるかの見極め |
最後の「前提条件」を聞き落とすと、施策だけを真似して機能しない、という結果になりやすいと考えています。
他社でうまくいっている施策は、そのまま真似していいのか?
そのまま持ち込むのは避けたほうがよいと考えています。目的が「独自の魅力を作ること」だからです。
他社と同じ施策を導入すれば、他社と同じ列に並びます。代表・原本の出発点は世の中に溢れている魅力では差別化にならないという認識にあり、社外の情報はその材料であって、答えそのものではありません。
では何を持ち帰るのか。施策の形ではなく、その施策が満たしている求職者のニーズです。ニーズがわかれば、自社の事情に合った別の満たし方を設計できます。この「誰が何を求めているかから逆算する」考え方は新しい魅力の作り方は「マーケティング」と同じで扱っています。
なお、定番の施策を採用すること自体は否定されません。それらは「やっても勝てないが、やらないと負ける理由になる」という位置づけです(新しい魅力は「やれば勝てる」わけではない)。真似するなら、その前提で真似する、という整理になります。
情報交換の相手は、どこで見つければいいのか?
経営者同士が集まる場に、継続的に顔を出すことです。単発の名刺交換では、採用や定着の内情までは出てきません。
採用できている理由・定着している理由は、外向けに公開されている情報ではありません。相手にとっては社内事情に近い話であり、初対面でいきなり出てくる内容ではないのが実際です。継続的に会う関係があるほど具体的な話を交換しやすくなる、というのが当社の実感です。
著者はHR・人材事業者コミュニティ「HR TOKYO」を運営しており、こうした場を継続的に持つことの効果を実感しています。同業に限る必要はありません。採用の競合が同じ業界とは限らないケースも多いと考えているため、地域の経営者団体や異業種の勉強会など、中小企業の経営者同士が交流できる場でも成立します。
自社の情報は出さずに、聞くだけでいいのか?
情報交換である以上、出す側にも回る必要があります。聞くだけの関係は続きません。
代表・原本の表現も「情報交換」であり、一方的な取材ではありません。自社でうまくいっていること、外した施策、いま悩んでいること。出す情報の質が、返ってくる情報の質を決めます。悩みを具体的に出せば、相手も具体的に答えやすくなる、という単純な構造です。
自社の話を出せる状態にしておく、という意味でも、普段から社内の魅力や取り組みを言語化しておく価値があります。言語化した内容を対外的に発信する方法は求人票だけでは選ばれない理由で扱っています。
社内の声と社外の情報は、どう組み合わせるのか?
社外で選択肢を広げ、社内で自社に合うかを確かめる、という役割分担です。順番を逆にすると、社内の議論が「知っている範囲」で閉じます。
| 情報源 | 得意なこと | 苦手なこと | 使いどころ |
|---|---|---|---|
| 社員の声 | すでにある魅力の発見、自社での実現可能性の判断 | 社内にない選択肢を出すこと | 既存の魅力の言語化/案の絞り込み |
| 社外の経営者 | 自社にない選択肢と、その成立理由を知ること | 自社に合うかの判断 | 案が枯れたときの選択肢の補充 |
社外で得た選択肢を社内に持ち帰るときも、聞き方の設計は同じです。「他社がこれをやっているがどうか」と聞けば賛否が返ってくるだけですが、「会社としてこうなりたい、そのためにこの方向は使えそうか」と聞けば、実現方法の議論になります。
社外の情報を「独自の魅力」に変えるまでの手順は?
持ち帰った施策を、いったんニーズに分解してから組み直します。形のまま持ち込まないのが要点です。
- 社内で案が止まったことを認める。同じメンバーで会議を重ねても、選択肢は増えません。
- 経営者同士の場に継続的に参加する。同業に限定しません。採用競合は業界をまたぐこともあります。
- 「なぜ採用できているか」「なぜ定着しているか」を聞く。制度の名前ではなく、成立している理由と前提条件まで聞きます。
- 施策をニーズに分解する。その制度は、求職者や社員のどんな欲求を満たしているのかを1文で書きます。
- 自社の事情に合った別の満たし方を設計する。ここで初めて自社独自の形になります。
- 社員・幹部と定着可否を検討する。コスト・満足度・期待できる応募(求人)の数の3点で判断します(詳細)。
代表・原本自身、これを簡単な作業とは言っていません。社外と社内の両方から情報を集め、他社にはない独自の魅力を作り出していく。手間はかかるが、そこが大事だという位置づけです。
魅力採用「ミリョクル」について
ミリョクルは、経営者が月1回・60分話すだけで、その内容をAIが記事にして自社サイトに蓄積する魅力採用のサービスです。「魅力を作る・伝える・成長する」の3つの軸からなり、既存の魅力の言語化から、新しい魅力の設計、発信までを一貫して支援します。料金は内容に応じて個別にお見積もりします。記事本数は収録内容により変動し、本数の保証はありません。
